「 合気道を知ってますか」と尋ねると見たことはあると答えてくれる方々が最近多くなりました。
YouTubeで著名な先生方が演舞をしていたり、他の格闘技とのコラボを映像化しているチャンネルが評判となっているからなのでしょう。
知っていると答えてくれた方々は、「あんなに簡単に人を投げ飛ばすなんて」とか「やらせだと思っていたけど、本当の格闘家が投げられているから本物だね」などの答えが帰ってきます。
そして私が合気道家であることを伝えると、「今、技を掛けてほしい」と言われるので、軽く手を取りながら技を仕掛けると、体の力が抜けたように崩れおちるので、あらためて目をキラキラさせながら「合気道、楽しそう」と言ってくれます。
今回は合気道の面白さについて解説していきます。
合気道は映画などで頻繁に用いられる
映画の中の世界でも合気道の技をよく見かけます。
特にスティーヴン・セガール先生の映画で一番多く使われる技は小手返しです。
【かもめ食堂】でサチコ役の女優小林聡美さんが泥棒を投げた技は四方投げ、【鬼滅の刃】で愈史郎(ユウシロウ)が丹次郎を投げたのも四方投げです。
鬼滅の刃のシーンは完ぺきに描かれていました。
合気道は簡単に始められる武道
趣味は楽しんでこそのものなので、合気道を始められたなら大いに楽しんで稽古することを目指しましょう。
男性女性に関係なく組み手を行いますが、密着するわけではないので女性の方も安心して稽古できます。
お互いに切磋琢磨を繰り返すうちに、心から信頼できる友人ができたり、結婚をしたりした人たちもいます。
合気道は人の心に一枚ずつ強さを重ねていく武道であり、優しくなれる武道です。
見学からはじめよう
老若男女問わず誰でも始めることができるので、体を鍛えたいとか、護身術として身につけたいなど様々な理由で見学にこられます。
見学の後で、安全な範囲で技を体験することもできるので、体感した後は「自分にもできそう」ではなく「自分もできるようになりたい」となるようです。
技が身について出来るようになると、楽しくなると同時に、少しずつですが心も強く身についてくるのが分かります。
護身術として身につけたいと思って、趣味として合気道を始めましたが今はとても良かったと思っています。
時間とお金、通える場所はどんな感じ?
時間やお金、通える場所について見ていきましょう。
時間
各稽古場所、各道場でそれぞれ時間が決まっているので、自分の行ける時間を選ぶことになります。
朝稽古、昼稽古、夕稽古、夜稽古と稽古時間は様々ですが、一般に社会人がほとんどなので
夕方6時〜6時30分ごろのスタートで、1〜2時間程度の稽古が一番多く行われています。
お金
月々の月謝は他の格闘技、武道系の金額よりなぜか安いです。
例えば一ヶ月2,000円〜3,000円や年間8,000円のみのボランティア活動的な団体も有るくらいですので、安く続けられる団体を探してみてください。
なお、公共事業スポーツ支援で体育館を使用する場合は、別途会館使用料がそのたびにかかります。
趣味に関しては形から入る人もいると思いますが、最初から合気道着を買っても安いし、ネットで注文もできます。
でも最初は各道場の許可次第ですがジャージ姿でも体験できる場所が各地にあるので、続けられるようだなと思ってから買いましょう。
場所
本格的道場はなかなか敷居が高い感じがあると思いますが、公共事業スポーツ支援体育館の格技室を利用した合気道の団体もあります。
公益財団法人 合気会 (国内登録道場・団体検索)で調べると、どこでやっているのかが分かります。
合気会系の師範の方々や指導員の方々は、他に本職の仕事を持たれた方々が多くて、ほとんどがボランティア活動で指導をしてくださってます。(本部合気会道場や地方各道場経営の師範指導員の方は除きます。ちなみに私も指導員をしていました。)
趣味として始めるには、時間、お金、通える場所と楽しみながら自分に得るものが無いと続きません。でもこれが、けっこう整ってます。
合気道はなかなか一筋縄で行けるほど浅くはなく、奥が深いので生涯にわたって学びながら楽しめる武道です。
奥深い合気道の魅力
初心者が始めに稽古するのは、受け身からです。稽古に来れば毎回、毎回受け身のみを稽古します。
この受け身だけの稽古が続くとだんだんといやになってくるのですが、受け身は最大の安全を身につける方法なのでしっかりと習得するようにしましょう。
受け身の稽古が一番体に来ます。それは腹筋が痛くなったり、首をへその方角に曲げて後頭部を打たないようにするので、首がいたくなったりと、筋肉痛だらけになります。
少し頑張った感はありますが・・・。
若い女性と、「50歳から70歳の男性」の方々が始められることが多いです。
職業もばらばらで、弁護士、医者、調理人などなど色々な方がいます。
合気道は袴をつけるイメージを持っている方もいると思いますが、袴は各団体で付けていいランクが決まってます。
ちなみに、男性は初段を印可されてから、女性は3級を所得してから付けることを許可されます。
女性の袴姿が、何と言っても一番カッコ良いです。
合気道は誰でもできるように見えるけれど、実は誰でもできるわけではないです。
そんな合気道の良さに気づくと、それを極めたくて夢中で稽古して出来るようになるのが最大の魅力です。
【誰でもできる武道だけど、誰もが出来ない武道が合気道】
合気道の初心者は白帯で5級ランクからの稽古始めです。
まずは受け身を覚えながら5級で習得しなければならない技を覚えます。
技の名前と体の動かし方が一つ一つの技で教えられていきます。
合気道には、表技と裏技がり、左右表技、左右裏技をセットで稽古するのが普通です。
表技とは、相手の前面に入身をして技を掛けることを左右で一度ずつおこないます。
裏技とは、相手の側面から後ろ側に入身、転換をして技を掛けることを左右で一度ずつ行います。
5級で覚える基本技と入身転換の体捌き、呼吸法は以下の通りです。
1.四方投げ
2.一教
3.入り身投げ
4.天地投げ
5.座り呼吸法
6.受け身(前受け身、後ろ受け身)
7.膝行(膝で歩く方法)
8.基本の体捌き(入身、転換)
合気道はこの基本技をベースに体捌きを習得すると、ほとんどの技が使えるようになるのですが、なかなか身につかないものです。
だから、始めに手の動き、体の動き、足の動きとダンスレッスンのように動きを覚えてから
本当の合気道の動きを習得することになります。
【誰でもできる武道だけど】の意味とは
ダンスの振り付けのように動きを覚えますが、合気道では取と受けの二人で合わせながら稽古をするので、受けが上手に動けるとスムーズに技ができたようになります。
こんな感じの稽古が続くととても華麗な演舞技が出来上がるのですが、実際には本当の合気道とは微妙に異なっています。
本来受けは、技による関節損傷や骨折、床に叩きつけられることを回避するために自分から逃げるための受けをとることがあるのですが、相手に気を使って手加減することがあります。
これが「誰でもできる武道だけど」の意味です。
どちらかと言うと受け身の練習がメインで行われていて、合気の技を決めておこなうタイプの稽古風景です。
【誰もができない武道が合気道】の意味とは
今までの体験からしても合気道の技はとっさに体現するのが難しいです。
何度も何度も同じ稽古を繰り返していても出来ない技があります。そしてこれをいとも簡単に体現できる人も世の中にはいます。
合気道の技を掛けられたときは、一瞬で身動きが取れない状態になったり、宙を舞っている感覚になります。
投げ技で、気が付いたら宙を舞っている感覚は、「階段を踏み外して、まるで空中に止まっていて気が付けば着地している感覚」に体験として似ていると思います。
さてこの合気の技を身に着ける一番の近道は、実際に何度でも合気技を体現できる先生に技を掛けてもらうことです。掛けられた感覚が身についてくるとできるようになります。
これができるようになると、とても気持ちいいんですよね。
相手の力をなくすのは、同じ力で対抗することになるので、相手の力を受ける、かわすの後で無の力で相手の力をもらいながら制することを、流れの中でできれば合気の技はいくつかは完成できるかなと思っています。
実際に試してみてください。
握手をします。そしてお互いに強く握りあいますが、自分だけは、そのあとすべての力を抜くと、なぜか相手も力が入らなくなってしまいます。この相手を自由に動かせる手法を、指導員時代にメインに指導させていただいておりました。
合気道を始めると昇級審査と昇段審査を経て、技を理解しながらできる様になってきます。
・五級 初歩で基礎と基本を学ぶ。
・四級 五級の基本を復習しながら、四級の技を覚える。
・三級 実際に技を多少なりとも掛けることが出来るようになり、帯色は茶色です。
・二級 かなりの上達を感じさせる体捌きができる段階に入っています。
・一級 審査に通過する段階で、初段に近い技の数を稽古してできる段階です。
・初段 黒帯となり男性は袴の着用をゆるされます。
(合気会国際有段者証が交付され、印可表状<表彰状の様な物>は級の時よりだいぶ大きくなります)
二段、三段、四段と進み、五段を印可されると出先などで道場長の役職を努めることができるようになります。
昇級・昇段の条件
昇級、昇段審査を受けるには、「稽古日数を満たしている事」と「審査対象の技を体得していること」が必要になります。
基本的にはこの二つを満たしていれば、指導者から「そろそろ審査を受けてみるか」と声がかかります。
稽古風景
稽古は指導してくださる先輩や先生が、前かまたは道場の中央で、一人相手を選んで模範になる技を表裏の順番で説明しながら見せてくれます。
その後、全員で二人一組となって、見せてもらった技を稽古するのが通例です。
男女の組み合わせや、年配者と子供の組み合わせなど様々な二人組ができることがあります。
子供だけ別メニューで稽古、初心者だけ別メニューの稽古などその時の人数に合った形で行われるのが普段の稽古風景です。
元々体力はありませんし、体を動かすスポーツなどは大の苦手ですが、合気道という趣味を見つけることが出来たことは、今とても良かったと思っています。
最後に
何事も人には合うあわないがあるので、この記事を参考にして始めるか決めましょう。
もし自分に合っていれば、心からお勧めできる趣味の一つになると思いますので合気道にチャレンジしてみてください。
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